薬剤 申し送り SBAR 看護の基本|看護師が現場で迷わない確認手順
薬剤 申し送り SBAR 看護で迷う看護師・看護学生向けに、薬剤ケアの考え方、投与前の確認、よくあるミス、申し送りのコツを現場目線で整理しました。暗記だけに頼らず、安全に確認する手順がわかります。
夜勤への申し送り直前に、抗菌薬の投与時刻が変わった。疼痛時指示の薬が追加された。持続点滴の流量が変わった。薬剤の変更は、病棟では毎日のように起こります。けれど「薬が変わりました」だけでは、次の勤務者は安全に動けません。
薬剤 申し送り SBAR 看護で大切なのは、薬剤名を並べることではなく、受け手が「何を今すぐ確認し、何を観察し、どこで医師や薬剤師に戻るか」まで判断できる形にすることです。SBARは、状況、背景、評価、提案を短くそろえるための型です。型があると、忙しい時間帯でも伝える順番に戻れます!
この記事では、薬剤の変更、未投与、保留、投与後観察をSBARで申し送るときの確認手順を整理します。医師の指示、添付文書、院内手順、薬剤師の確認に代わるものではありません。強い症状、継続する不調、アレルギーを疑う変化、判断に迷う変化があれば、申し送りだけで済ませず、速やかに医師へ報告してください。
薬剤申し送りをSBARにする意味
薬剤の申し送りで怖いのは、言ったつもり、聞いたつもり、見たつもりが重なることです。薬剤名、量、単位、経路、投与時刻、前回投与、効果、副作用、未実施の理由が少しずつ抜けると、次の勤務者は「どこまで終わっているのか」を再確認しなければなりません。
SBARを使う目的は、長く話すことではありません。むしろ逆で、患者さんに直接影響する薬剤情報を、短く、同じ順番で、必要な人に渡すための整理です。院内で別の申し送り様式が決まっている場合は、それを優先しながら、抜けやすい項目をSBARの考え方で補います。
Sは今起きている薬剤上の問題を一文にする
SはSituation、つまり状況です。ここでは「何の薬について、今何が起きているか」を先に伝えます。薬剤変更なら「本日夕から降圧薬が増量になりました」、未投与なら「昼の内服が嘔気で保留になっています」、副作用疑いなら「投与後に発疹が出ています」のように、受け手が最初に緊急度を判断できる文にします。
Sに全部を詰め込む必要はありません。まずは薬剤名、変更内容、未実施の有無、患者さんの直近の状態を置きます。最初の一文が具体的だと、その後のB、A、Rが追いやすくなります!
Bは背景を絞って渡す
BはBackground、背景です。薬剤の申し送りでは、処方変更の理由、前回投与の時刻、既往やアレルギー、関連する検査値、食事摂取、腎機能や肝機能など、薬剤の安全性に関係する情報を確認します。ただし、カルテに書いてあることを全部読む必要はありません。
たとえば疼痛時指示なら、前回の痛みの程度、投与時刻、効果、眠気や呼吸状態を背景に入れます。利尿薬なら、血圧、尿量、体重変化、電解質の確認が必要になることがあります。薬剤ごとに見る項目は異なるため、迷ったときは添付文書、院内手順、薬剤師への確認に戻ります。
| SBAR | 薬剤申し送りで入れる内容 | 短い例 |
|---|---|---|
| S | 今の問題、薬剤名、変更、未実施 | 「夕から薬剤Aが増量です」 |
| B | 変更理由、前回投与、関連情報 | 「血圧高値が続き、前回は朝に内服済みです」 |
| A | 観察した変化、リスク、違和感 | 「ふらつきはなく、血圧低下に注意が必要です」 |
| R | 次にしてほしい確認、報告先、期限 | 「夕食後投与後、起立時のふらつきを確認してください」 |
SBARで薬剤情報を組み立てる手順
薬剤 申し送り SBAR 看護では、S、B、A、Rをきれいに埋めることより、次の勤務者が安全に判断できるかを優先します。特に薬剤は、指示と実施と観察がつながっていないと危険です。薬剤名だけ、計算結果だけ、症状だけで終わらせず、「だから次に何を見るか」まで渡します。
PMDAの医療安全情報や日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業では、薬剤の取り違え、投与方法、確認不足などに関する注意喚起や事例情報が扱われています。ここから言えるのは、薬剤安全は個人の注意力だけでは支えにくいということです。決まった順番で確認し、迷ったら止まる仕組みが必要です。
指示と薬剤表示を同じ単位で見る
薬剤申し送りの前に、電子カルテの最新指示と薬剤表示を同じ単位で見ます。医師指示がmg、薬剤ラベルがmL、院内の早見表が別の単位で書かれていることがあります。「1回量」「1日量」「時間量」「濃度」「流量」が混ざると、同じ数字でも意味が変わります。
計算が必要な場合は、暗算だけで進めず、途中式や確認した単位を残します。申し送りでは、単に「計算しました」ではなく、「この指示量をこの規格で確認し、この実施量です。念のため投与前に再確認をお願いします」のように、AとRにつなげます。第三者が追える形にしておくと、次の人も確認しやすいです。
Aは看護師としての観察と違和感を入れる
AはAssessment、評価です。ここでは診断を断定するのではなく、看護師として見た患者さんの状態、投与後の変化、リスク、違和感を入れます。「発熱が続いている」「疼痛NRSが下がった」「眠気が強い」「尿量が少ない」「食事が取れていない」など、薬剤の効果や副作用の判断につながる事実を中心にします。
薬剤の効果や副作用は、薬ごと、患者さんごとに見方が変わります。強い症状、継続する不調、呼吸苦、意識レベルの変化、血圧低下、発疹や腫脹などアレルギーを疑う変化があれば、次の勤務者への申し送りだけで終わらせないでください。院内手順に従い、医師へ速やかに報告する場面です。
Rは次の行動を具体的に頼む
RはRecommendation、提案または依頼です。薬剤申し送りでは、ここを曖昧にしないことが重要です。「様子を見てください」だけだと、何を、いつ、どの程度見ればよいのかが伝わりません。「投与30分後に疼痛と眠気を確認してください」「次回投与前に血圧を確認し、低値なら医師へ報告してください」のように、行動に変換します。
次の勤務者にお願いしたいことは、観察、再確認、医師への報告、薬剤師への相談、家族説明の引き継ぎなどに分けます。期限や条件を入れると、申し送りが行動に変わります。「いつまでに」「何があれば」「誰へ報告するか」まで言えると、かなり実践で使いやすくなります!
院内手順と添付文書に戻る
SBARは便利ですが、薬剤の判断そのものを置き換える道具ではありません。投与可否、投与量、希釈、投与速度、禁忌、併用注意、観察項目は、医師の指示、添付文書、院内手順、薬剤部の運用に従います。PMDAの医療用医薬品情報検索は、添付文書などを確認する入口として使われます。
新人のうちは、「申し送りの型が合っているか」と「薬剤判断が合っているか」を一緒に抱えてしまいがちです。分けて考えましょう。SBARは伝える型、薬剤の根拠は指示・添付文書・院内手順・チーム確認です。ここを分けると、質問もしやすくなります。
薬剤申し送りで起こりやすいズレ
薬剤 申し送り SBAR 看護で起こりやすいズレは、知識不足だけではありません。中断、急ぎ、似た薬剤名、似た規格、電子カルテの見落とし、記録のタイムラグなど、環境の影響を強く受けます。だからこそ、申し送りでは「何が変わったか」と「どこまで終わったか」を分けて伝えます。
未投与、保留、中止を曖昧にしない
薬剤の申し送りで危ないのは、未投与、保留、中止、延期が一言で流れることです。「まだです」だけでは、なぜ未投与なのか、再開してよいのか、医師に確認済みなのか、次に誰が判断するのかが残りません。
SBARでは、Sで「昼の内服は嘔気で保留」、Bで「医師へ報告済み、夕方再評価の指示」、Aで「嘔気は軽減傾向だが食事摂取は半量」、Rで「夕食後に内服可否を医師指示に沿って確認」と整理します。未実施の事実だけでなく、理由と次の判断点をセットにします。
似た薬剤名、似た規格に引っ張られない
PMDAの医療安全情報でも、薬剤名や包装、規格、投与方法に関する取り違えは繰り返し注意喚起の対象になります。似た名前、似た外観、同じ棚、似た用量が重なると、確認したつもりでもすり抜けることがあります。
申し送りでは、薬剤名だけでなく規格、濃度、経路、時間まで伝えると安全側です。特に増量、減量、剤形変更、内服から注射への変更、持続投与の流量変更では、「いつもの薬」ほど立ち止まります。投与直前には、院内で定められた本人確認と薬剤確認に戻ります!
| ミスの入口 | 起こりやすい場面 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 未投与の理由が不明 | 嘔気、検査、患者不在、医師確認待ち | Sで未実施、Bで理由、Rで次の判断を伝える |
| 単位や規格の混在 | mg、mL、単位、濃度、流量 | 指示と薬剤表示を同じ単位で読む |
| 時刻のズレ | 抗菌薬、頓服、持続投与、食前食後薬 | 前回時刻、次回時刻、許容範囲を院内手順で確認 |
| 観察項目の不足 | 鎮痛薬、降圧薬、血糖関連薬、利尿薬など | 効果と副作用を同じ申し送りに入れる |
投与前後の観察を申し送りに入れる
薬剤 申し送り SBAR 看護は、投与して終わりではありません。投与前に止める理由がないかを見つけ、投与中や投与後に変化を拾い、次の勤務者が同じ視点で観察できるように残すところまでが大切です。
投与前は「止める理由」を探す
投与前確認では、実施できる理由だけでなく、今は止めるべき理由がないかを見ます。アレルギー、検査値の急変、食事摂取不良、意識レベル低下、血圧や脈拍の変化、呼吸状態、尿量など、薬剤によって見る場所は変わります。
ここで迷ったら、自己判断で進めないことが安全です。医師に確認する、薬剤師に相談する、先輩に一緒に見てもらう。確認に時間を使うことは、仕事が遅いのではなく、患者さんを守るための専門職としての行動です!
投与後は効果と副作用を同じ記録に残す
投与後の記録は、「実施しました」だけでは次につながりません。何を期待して投与したのか、どのくらいで変化を見たのか、副作用らしい変化がなかったかを残します。疼痛、発熱、血圧、血糖、呼吸状態、尿量、眠気、ふらつきなど、薬剤ごとに観察項目を絞ります。
記録のコツは、評価できる言葉にすることです。「様子観察」ではなく、「投与30分後、疼痛NRS 7から4、眠気あり、呼吸数16回/分」のように、次の人が判断できる形にします。数値は患者さんや薬剤により意味が変わるため、目安として記録し、判断は院内手順や医師の指示に沿わせます。
薬剤申し送りを苦手なままにしない練習法
薬剤 申し送り SBAR 看護は、忙しい勤務中だけで上達しようとするとつらくなります。短い練習を何度も行い、薬剤名、変更点、観察項目、次の行動をSBARに置き換える練習をすると、現場で言葉が出やすくなります。
1症例を4行のSBARにしてみる
練習は長くなくて大丈夫です。勤務後に1症例だけ、今日見た薬剤変更をS、B、A、Rの4行に分けて書きます。Sは今の問題、Bは背景、Aは観察したこと、Rは次にしてほしいことです。実際の患者情報を院外に持ち出さないよう、個人が特定される情報は扱わず、院内のルールに従って復習します。
国試の問題集だけだと、薬理や計算は復習できても、申し送りの言い方までは練習しにくいことがあります。逆に、現場の経験だけだと、なぜその薬剤でその観察項目を見るのかが曖昧なまま流れることがあります。知識と申し送りをつなぐ練習にすると、次の勤務でそのまま使えます!
「確認フレーズ」を決めておく
不安なときほど、何を聞けばよいかわからなくなります。そんなときは、「この薬剤変更は、次回投与前に何を確認すればよいですか」「この症状は投与後の変化として医師へ報告した方がよいですか」「未投与のまま次勤務へ渡す場合、Rには何を書けばよいですか」のように、確認フレーズを持っておくと楽です。
先輩に聞くことは、知識がない証拠ではありません。薬剤は患者さんに直接影響する領域だからこそ、確認できる人が強いのです。今日の勤務で一つだけ、薬剤申し送りをS、B、A、Rに分けてみてください。小さな型が、次の安心につながります。
あなたの次の一歩に
❓ よくある質問
薬剤変更をSBARで申し送るとき、Sには何を入れますか?
Sには、今伝えたい薬剤上の問題を一文で入れます。薬剤名、変更内容、未投与や保留の有無、直近の患者さんの状態を先に置くと、受け手が緊急度をつかみやすくなります。
投与量や流量の計算結果はSBARのどこで伝えますか?
計算結果だけを単独で伝えず、Aで自分の評価として根拠と一緒に伝え、必要な確認依頼をRに置きます。暗算だけにせず、指示・薬剤表示・途中式を第三者が追える形で残してください。
未投与、保留、中止になった薬はSBARでどう申し送りますか?
Sで未実施の事実を先に伝え、Bで理由や経過、Aで現在のリスク、Rで次勤務者にしてほしい確認を具体化します。「あとでお願いします」だけではなく、期限と観察項目まで残します。
薬剤投与後に強い症状が出た場合もSBARでよいですか?
SBARは状況を整理して報告する型として使えますが、強い症状、継続する不調、アレルギー疑い、判断に迷う変化があれば、申し送りだけで済ませず医師へ速やかに報告し、院内手順に従って対応します。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療・投薬判断に代わるものではありません。実際の投与や観察は、医師の指示、添付文書、院内手順、薬剤師の確認に従ってください。
参考情報源
- PMDA医療安全情報 (医薬品医療機器総合機構) アクセス日: Sat May 30 2026 02:00:00 GMT+0200 (Central European Summer Time) https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/medical-safety-info/0009.html
- 医療事故情報収集等事業 (日本医療機能評価機構) アクセス日: Sat May 30 2026 02:00:00 GMT+0200 (Central European Summer Time) https://www.med-safe.jp/
- PMDA 医療用医薬品 情報検索 (医薬品医療機器総合機構) アクセス日: Sat May 30 2026 02:00:00 GMT+0200 (Central European Summer Time) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
- 看護業務基準 (日本看護協会) アクセス日: Sat May 30 2026 02:00:00 GMT+0200 (Central European Summer Time) https://www.nurse.or.jp/nursing/kangogyomu/kijyun/index.html