先輩看護師からのいじめ・嫌がらせへの対処法|記録・相談・解決の流れ
先輩看護師からいじめや無視・嫌がらせを受けたとき、今日からできる証拠記録の取り方、院内外への相談手順、状況が改善しない場合の転職まで具体的な流れを解説します。
先輩に無視され続けて、シフトに入るのが怖い。誰に話せばいいのかも分からないまま今日も出勤してしまった——そんな夜に、このページを開いてくれてありがとうございます!
看護師のいじめ問題は、残念ながら珍しくありません。日本看護協会の調査では、看護職の2人に1人が過去1年間に何らかの暴力・ハラスメントを経験しているというデータがあります。だからといって「仕方ない」ではなく、あなたには状況を変える権利があります。
この記事では、先輩看護師からいじめや嫌がらせを受けているときに「今日から使える具体的な手順」を解説します。感情を整理するためのコラムではなく、記録の取り方・院内外の相談ルート・改善しない場合の出口戦略まで、実際に動ける内容だけを並べました。
いじめ・ハラスメントの見極め方
先輩の行動が「いじめ」なのか「指導の範囲」なのかを判断するのは、渦中にいると難しいものです。厚生労働省はパワーハラスメントを以下の6つの類型で整理しています。
パワハラ6類型と看護現場での具体例
(1) 身体的な攻撃 — 書類を投げつける、肩や背中を叩くなど
(2) 精神的な攻撃 — 「あなたには無理」「向いていない」と大声で罵倒する、みんなの前で叱責する
(3) 人間関係からの切り離し — 業務上の情報を故意に伝えない、無視する、グループチャットから外す
(4) 過大な要求 — 新人に一人でこなせない業務を押しつけ、失敗を責める
(5) 過小な要求 — 能力があるのに雑用しか与えない、ケアから外される
(6) 個の侵害 — 私生活のことを繰り返し聞いてくる、交友関係に干渉する
看護現場でとくに多いのは「精神的な攻撃」と「人間関係からの切り離し」です。無視、陰口、申し送りで名指し批判——これらは「指導」ではなく、厚生労働省の定義上は明確にパワハラに該当します。
「厳しい指導」との違いをどう見分けるか
パワハラと厳しい指導の境界は「業務上の必要性と相当性があるかどうか」です。ミスを指摘すること自体は指導の範囲ですが、必要以上に人前で叱責する、同じミスを何週間も蒸し返す、関係のない人格攻撃を加えるといった行為は「相当性を超えた指導」、つまりハラスメントです。迷ったときは「同じ状況で他の先輩も同じことをするか」を基準にしてみてください。
最初の一手:証拠記録の取り方
先輩からいじめを受けたらまずすべきことは、記録することです。感情が落ち着いていなくても構いません。起きたことを事実として書き留めることが、あらゆる相談・対処の土台になります。
何をどう記録するか
記録に必要な5つの要素があります。
- 日時 — 「〇年〇月〇日(曜日)〇時頃」まで書く
- 場所 — ナースステーション、処置室、廊下など
- 具体的な発言・行動 — 言葉は一字一句に近い形で。「嫌なことを言われた」ではなく発言内容そのものを
- 状況・経緯 — 何がきっかけでその発言・行動が起きたか
- 目撃者 — 近くにいたスタッフや患者の有無。名前まで書けると理想
スマートフォンのメモアプリで十分です。毎日続けなくていいので、「これはおかしい」と感じた出来事が起きたときだけ書く習慣をつけましょう。記録が5件以上たまると、相談窓口で「パターン」として認識してもらいやすくなります。
音声録音は使えるか
日本では会話の一方の当事者が録音する行為は原則として合法です。ただし録音データを第三者に公開する際には注意が必要です。記録の補助手段として、センシティブな発言があった場面でスマートフォンを録音状態にしておくことは現実的な選択肢です。院内の許可を取ることは不要ですが、録音したデータの扱いは慎重に。弁護士や労働局へ相談する際の参考資料として保管しておく程度が適切です。
院内での相談ルートと進め方
記録が整ったら、相談へ進みます。院内の相談窓口から外部機関まで、段階を踏んで活用するのが基本です。
院内相談の順番と注意点
師長・主任への相談が最初のステップです。ただし、師長自身がいじめの当事者・加担者である場合は飛ばして構いません。相談の際は「〇月〇日に〇〇先輩からこういう発言がありました」と事実ベースで伝えます。「つらい」だけでは動いてもらいにくいので、記録をプリントアウトして渡すと効果的です。
師長に相談して動かない場合は、看護部長・副看護部長への直接相談に進みます。大きい病院では看護部が独自のハラスメント相談窓口を持っている場合もあります。院内の組織図を確認して、どのラインに上げるべきか確かめてください。
人事・コンプライアンス窓口は、医療機関によって「職員相談室」「倫理委員会」「ハラスメント防止委員会」などの名称で設置されていることがあります。匿名で投書できる制度がある場合はそれも活用できます。
相談の記録も残す
相談したこと自体もメモしておいてください。「〇月〇日、師長の〇〇さんに報告。回答は〇〇だった」という形で。対応が不十分だった場合の証拠にもなりますし、外部機関への相談時に「院内では解決できなかった」という経緯説明にも使えます。
産業医・メンタルヘルス相談の活用
心身への影響が出ているなら、産業医やメンタルヘルス相談窓口(こころの耳など)への相談もためらわないでください。いじめが原因のメンタル不調は、休職・傷病手当金の対象になる場合があります。医師に「職場のストレスとの関連」を記録してもらっておくと、後々の対応に役立ちます。
院外の相談窓口と法的手段
院内で解決できない場合、外部機関を使う権利があなたにはあります。外部への相談は「大げさ」ではなく、法的に保障された手段です。
総合労働相談コーナー(厚生労働省)
各都道府県の労働局および労働基準監督署に設置されています。無料・匿名でも相談でき、専門の相談員が対応します。「あかるい職場応援団」(厚生労働省のサイト)から最寄りの窓口を検索できます。電話相談も可能です。
ここへの相談で「指導・助言」「あっせん」という制度を使うことができます。あっせんは当事者間の話し合いを第三者が仲介する制度で、裁判よりも時間・費用をかけずに解決できる場合があります。
労働基準監督署への申告
パワハラが原因で長時間残業や健康被害が生じている場合、労働基準監督署への申告も選択肢です。監督官が調査に入ることで、病院側が対応を迫られるケースがあります。
弁護士・法テラスへの相談
精神的苦痛に対する慰謝料請求や、不当な処遇(配置転換・解雇)に対して法的に対抗したい場合は弁護士への相談を検討してください。法テラス(日本司法支援センター)では、収入に応じた無料法律相談が受けられます。初めから弁護士費用を心配しなくて大丈夫です!
改善しない場合の出口戦略:転職という選択
院内外での相談を経ても状況が変わらない場合、転職は「逃げ」ではなく、自分のキャリアと健康を守る積極的な決断です。
転職を決断する前に確認すること
転職前に整理しておくと動きやすい3点があります。
- 休職・傷病手当金の申請を先行させるか — 心身の状態が悪化しているなら、転職活動の前に休職を取得する選択肢がある。傷病手当金は標準報酬月額の3分の2が最長1年6か月支給される
- 退職届は問題が記録された後に出す — 相談記録・録音・医師の記録が揃う前に退職すると、慰謝料請求の際に「自己都合退職」として扱われやすくなる場合がある
- 転職先の職場環境のリサーチ — 同じ状況を繰り返さないために、面接時の質問や転職エージェントの情報収集は念入りに
転職活動中の注意点
在職中に転職活動をする場合、職場内での動きが漏れないよう注意が必要です。SNSへの投稿、院内での転職サイト閲覧は控えてください。看護師専門の転職エージェントを使うと、ハラスメントのない職場かどうかの情報を持っていることがあり、入職前のリスク確認がしやすくなります。
新しい職場で同じことを繰り返さないために
転職先を探す際に、面接でさりげなく確認できる質問があります。「スタッフの平均勤続年数はどのくらいですか」「新人育成はどのような体制ですか」「離職率はどの程度ですか」——こうした質問への回答が曖昧な場合は、職場環境に課題がある可能性があります。数字や具体例で答えてくれる職場は、情報開示に積極的な組織である可能性が高いです。
つらい状況でも、今日一歩だけ動いてほしい
記録するだけでも、今日それをやってみてください! いじめを受けているときは「どうせ変わらない」という無力感が出やすいですが、記録を1件書いたことで状況を客観視できるようになった、という声はよく聞きます。一人で全部解決しようとしなくていい。今日は「メモを1件書く」、それだけで十分です。
あなたの次の一歩に
❓ よくある質問
Q. 先輩看護師からのいじめ、まず最初に何をすればいいですか?
まず「記録する」ことが最優先です。日時・場所・発言内容・目撃者の名前をメモしておくと、後から相談窓口や労働基準監督署に相談する際の証拠になります。感情的になる前に事実を積み上げることが、解決への最短ルートです。
Q. 無視や陰口はいじめ(パワハラ)に該当しますか?
厚生労働省が定めるパワハラの6類型のうち「人間関係からの切り離し」に無視・仲間外しは含まれます。継続的・組織的に行われている場合は職場いじめとして認定されやすく、病院の相談窓口や労働局への申告が可能です。
Q. 院内に相談窓口がない場合はどこに相談すればいいですか?
各都道府県の労働局・労働基準監督署にある「総合労働相談コーナー」が無料で対応します。電話・来所どちらでも受け付けており、匿名相談も可能です。厚生労働省の「あかるい職場応援団」サイトから最寄りの窓口を検索できます。
Q. 記録するとき、何をどこまで書けばいいですか?
日付・時刻・場所・具体的な発言や行動・その場にいた人物を書きます。「なんとなくつらかった」ではなく「〇月〇日15時、ナースステーションで、〇〇先輩に『あなたには無理』と大声で言われた。傍にいたスタッフ〇〇さんが聞いていた」という形式が理想です。
Q. 相談しても改善しない場合、転職すべきですか?
院内相談・労働局への申告を経ても状況が変わらない場合、転職は正当な選択肢です。いじめのある職場に居続けることでメンタルヘルスを損なうリスクの方が高いケースも多くあります。転職前に看護師専門の転職エージェントに相談し、情報収集から始めるのがおすすめです。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の判断や法的手続きについては、労働基準監督署・弁護士・産業医など専門の窓口にご相談ください。
参考情報源
- 看護現場におけるハラスメント対策|日本看護協会 (公益社団法人 日本看護協会) アクセス日: Thu Jun 04 2026 02:00:00 GMT+0200 (Central European Summer Time) https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/n_harassment/index.html
- パワーハラスメントとは|あかるい職場応援団 (厚生労働省) アクセス日: Thu Jun 04 2026 02:00:00 GMT+0200 (Central European Summer Time) https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/harassment_list/power-hara/
- ハラスメントにあったらどうする?|あかるい職場応援団 (厚生労働省) アクセス日: Thu Jun 04 2026 02:00:00 GMT+0200 (Central European Summer Time) https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/worry/action/