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敗血症を早期発見|qSOFAの使い方と病棟での気づきポイント

感染症患者を受け持つ看護師向けに、qSOFAスコアで敗血症の初期サインを見抜く方法を解説。3つの評価項目・スコアの解釈・病棟での観察ポイントを実践的にまとめました。

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「あの患者さん、さっきより顔色が悪い気がする……でも熱はそんなに高くないし、様子を見てみよう」と思った経験はありませんか。そのわずかな違和感こそが、敗血症の早期発見につながる大切なサインです!

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敗血症は、感染症が引き金となって臓器障害を起こす、生命を脅かす重篤な状態です。日本では年間数万人規模の患者が発症し、適切な治療開始が1時間遅れるごとに死亡率が上昇するとされています。早期に気づいて医師へつなぐことが、患者さんの命を守る最短ルートです。

病棟看護師にとって、「敗血症かもしれない」と気づくために最も使いやすいスクリーニングツールがqSOFA(quick Sequential Organ Failure Assessment)スコアです。この記事では、qSOFAの3つの評価項目とスコアの解釈、病棟ですぐ使える観察のポイントを、実際のベッドサイドをイメージしながら解説していきます。

🔍 qSOFAとは何か——3項目で瞬時にスクリーニング

qSOFAは、2016年にSepsis-3の定義改訂とともに提唱されたスコアです。意識変容・呼吸数22回/分以上・収縮期血圧100mmHg以下の3項目のみを評価し、血液検査なしでベッドサイドで即座に判断できるのが最大の特徴です。

3つの評価項目を正確に理解する

qSOFAの各項目は1点ずつで、合計2点以上が「敗血症を疑い追加評価を要する」状態のサインです。

(1) 意識変容(Altered mentation) GCS(グラスゴーコーマスケール)が15点未満、あるいは「呼びかけに対する反応がいつもと違う」「会話がかみ合わない」「ぼんやりしている」状態が該当します。家族から「いつもと様子が違う」と言われたときは要注意です。発熱で意識がぼんやりしているように見えても、普段との差を比較することが重要です。

(2) 呼吸数22回/分以上 呼吸数は、看護師が見落としやすいバイタルサインの一つです。SpO2が正常値でも、呼吸回数が増えていれば身体が代償している可能性があります。1分間しっかりカウントする習慣をつけてください。肺炎や尿路感染症の患者で、「なんとなく息が早い」と感じたら測定しましょう。

(3) 収縮期血圧100mmHg以下 感染に伴う血管拡張や相対的循環血液量不足により、血圧が低下します。普段から高血圧の患者であれば、血圧120mmHg台でも「本人比で低い」と判断すべき場合があります。入院時のベースライン血圧と比較する視点が大切です。

qSOFAスコアの判断の目安

スコア対応の目安
0〜1点qSOFA単独では敗血症を積極的には疑わないが、他の所見と合わせて継続観察
2点以上臓器障害を起こしている可能性を疑い、速やかに医師へ報告・追加評価を依頼

ただし、2点未満でも敗血症を完全に否定することはできません。他のバイタルサインの変化や患者の主訴・皮膚所見・尿量も合わせて総合的に判断することが前提です。

🏥 病棟で気づくための観察ポイント——見落としやすいサインを拾う

qSOFAのスコアが出る「前段階」に、看護師だからこそ気づける微妙な変化があります。ここが早期発見の鍵です!

感染症患者の受け持ちで意識すべき観察の視点

発熱・悪寒戦慄のタイミングを記録する 感染症患者が急に悪寒戦慄を起こしたとき、それは菌血症(血液中に菌が入り込んでいる状態)のサインである可能性があります。このタイミングで血液培養を採取すると陽性率が高くなるため、観察のたびに「いつ悪寒戦慄が起きたか」を正確に記録しておきましょう。

尿量の変化を見逃さない 臓器障害の早期指標の一つが尿量減少です。0.5mL/kg/時間を下回る状態が続く場合は腎機能障害の始まりを疑います。尿量測定の指示がなくても、トイレ歩行できる患者なら「排尿回数・1回量のおよその目安」を自己申告で確認しておくとよいでしょう。

皮膚の色調・温度・湿潤を確認する 敗血症の初期は皮膚が温かく紅潮していることがありますが(ウォームショック)、進行すると蒼白・冷感・冷汗が現れます(コールドショック)。末梢の皮膚を触って温度を確かめる習慣は、数値では見えない循環不全の変化を早くつかむ手がかりになります。

申し送りで必ず伝えるべき情報の絞り込み

交代時のわずかな時間に、敗血症リスクをチームで共有するための申し送りポイントを絞るとすれば、次の3点です。

(1) 感染フォーカスの部位と現在の抗菌薬投与状況 (2) 直近12時間のバイタルサインのトレンド(特に呼吸数・血圧・体温の推移) (3) 意識状態や尿量の変化の有無

この3点を次のナースが把握していれば、初めて受け持つ場合でもqSOFAの視点でアセスメントを引き継げます。

📋 qSOFAが2点以上になったときの動き方

「2点以上になった」と分かった瞬間から、看護師として動けることが複数あります。報告・指示受けを待つだけでなく、次の行動を並行して準備しておくと医師との連携がスムーズです!

報告前に準備しておくこと

医師に報告する前に手元に揃えておくと話が速くなる情報があります。

(1) 現在のバイタルサインの全項目(体温・脈拍・呼吸数・血圧・SpO2) (2) 直近数時間の尿量 (3) 感染の疑いの根拠(どこから感染していると考えられるか。例:カテーテル留置中、肺炎加療中など) (4) 現在投与中の抗菌薬の種類と最終投与時刻 (5) 直近の血液検査結果があれば確認(CRP・WBC・PCT・乳酸値)

指示を受けたあとの優先順位

敗血症が疑われる場合、医師からの指示は複数同時に出ることがあります。優先順位は施設のプロトコルに従うことが前提ですが、一般的な流れとして以下が挙げられます。

(1) 血液培養採取(抗菌薬投与前。2セット以上) (2) 乳酸値・血算・生化学の採血 (3) 抗菌薬の投与準備・開始 (4) 輸液の準備・速度管理 (5) バイタルサインのモニタリング強化(頻度の増加や継続モニタリングへの切り替え)

早期目標指向型治療(EGDT)に代わり、現在のガイドラインでは「敗血症バンドル」として抗菌薬投与と輸液蘇生の早期開始が強調されています。1時間以内の抗菌薬投与を目指すために、看護師が先手を打って準備することが命取りになる時間差を縮めます。

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🩺 SOFAスコアとの違い——使い分けを理解する

qSOFAはあくまで「ICU外でのスクリーニング」のために作られたツールです。正式な臓器障害の重症度評価には、SOFA(Sequential Organ Failure Assessment)スコアが使われます。

qSOFAとSOFAそれぞれの役割

qSOFAの目的は「敗血症の可能性を早く拾い上げること」です。血液検査が不要で3項目のみ評価するため、バイタルサインを測るついでに日常的に使えます。一方、SOFAスコアは呼吸・凝固・肝臓・循環・神経・腎臓の6臓器それぞれの機能を点数化し、合計2点以上の上昇が臓器障害の基準とされています。SOFAの計算にはPaO2/FiO2比・ビリルビン・クレアチニン・血小板数などの検査値が必要です。

つまり、病棟看護師が最初の一歩としてqSOFAを使い、「怪しい」と判断したらSOFAを医師が確認するという二段階の流れが実践的です。

小児患者への注意

qSOFAは成人を対象として開発されたスコアです。小児では正常値のバイタルサインが年齢によって異なるため、そのまま適用できません。小児患者では別のスクリーニング基準(pSOFAなど)が使われることを念頭に置いておきましょう。

💊 感染症別の敗血症リスクと特徴的な初期サイン

敗血症に進展しやすい感染症は複数ありますが、それぞれ初期サインに特徴があります。よくある感染症ごとの観察ポイントを整理しておきましょう!

肺炎由来の敗血症

肺炎では、発熱・咳嗽・喀痰などの呼吸器症状が先行します。注意すべきは、高齢者や免疫抑制状態では発熱がないまま意識障害や血圧低下で突然発症することです。酸素化の低下(SpO2の低下)や呼吸仕事量の増加(鼻翼呼吸・肩で呼吸しているような様子)が重症化のサインです。

尿路感染症由来の敗血症

尿路感染症は病棟で最も遭遇する感染源の一つです。特に長期カテーテル留置中の患者は発熱と悪寒だけで始まることが多く、尿の混濁や悪臭が観察の手がかりになります。導尿カテーテル管理の際に尿の性状を毎回確認する習慣が早期発見につながります。

術後感染・創部感染由来の敗血症

術後患者では、創部の発赤・腫脹・滲出液の増加とともに急激なバイタルサインの悪化が起きることがあります。ドレーン排液の性状変化(混濁・悪臭・量の増加)も重要な所見です。創傷処置のたびに創部全体を注意深く観察してください。

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今日から一つだけ変えるとしたら、感染症患者のバイタルサインを測るたびに「呼吸数をきちんと1分間カウントする」習慣を始めてみてください。呼吸数はqSOFAの中でも見落とされやすい項目ですが、患者さんの身体が出している最初のSOSを受け取れる、あなただけの早期警戒センサーになります!

あなたの次の一歩に

❓ よくある質問

Q. qSOFAとは何ですか?

qSOFA(quick SOFA)は、病棟や救急外来など集中治療室の外で感染が疑われる患者を素早くスクリーニングするためのスコアです。意識変容・呼吸数22回/分以上・収縮期血圧100mmHg以下の3項目を評価し、2点以上で敗血症を疑います。

Q. qSOFAが2点以上だったら何をすべきですか?

すぐに担当医へ報告し、血液培養・乳酸値・血算・CRPなどの血液検査の指示を確認してください。抗菌薬の早期投与と輸液蘇生の開始が予後を左右します。独自判断せず、チームで動くことが最優先です。

Q. qSOFAと従来のSIRSは何が違いますか?

SIRSは体温・脈拍・呼吸数・白血球数の4項目で炎症反応を評価しますが、感度は高い一方で特異度が低く過剰診断になりやすい課題がありました。qSOFAは臓器障害の視点から3項目に絞り、血液検査なしでベッドサイドで即判断できる点が特徴です。

Q. 夜間の一人受け持ちでqSOFAをどう使いますか?

バイタル測定のたびに意識レベル・呼吸数・収縮期血圧の3点をセットで確認する習慣をつけてください。変化に気づいたらSOAPで記録し、当直医・リーダーナースへすぐに報告します。深夜帯ほど早めの共有が急変を防ぎます。

Q. qSOFAスコアが1点でも安心できませんか?

1点でも気を緩めないでください。qSOFAは2点未満でも敗血症を完全に除外できるツールではありません。発熱・悪寒戦慄・意識の細かな変化など他の観察と組み合わせ、少しでも気になる変化があれば医師へ相談することが重要です。


本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の症状・状態の判断や診断・治療については、必ず担当医師・専門職にご相談ください。

参考情報源

  1. 日本版敗血症診療ガイドライン2024 (J-SSCG2024) 正式版公開のお知らせ (公益社団法人 日本集中治療医学会) アクセス日: Thu Jun 04 2026 02:00:00 GMT+0200 (Central European Summer Time) https://www.jsicm.org/news/news241225-J-SSCG2024.html
  2. The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3) (JAMA (Journal of the American Medical Association)) アクセス日: Thu Jun 04 2026 02:00:00 GMT+0200 (Central European Summer Time) https://www.researchgate.net/publication/295675239_The_Third_International_Consensus_Definitions_for_Sepsis_and_Septic_Shock_Sepsis-3
  3. 敗血症診断の歴史|医療関係者の皆様へ (敗血症.com) アクセス日: Thu Jun 04 2026 02:00:00 GMT+0200 (Central European Summer Time) https://xn--ucvv97al2n.com/medical_personnel/history/

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