看護師・看護学生のキャリアと学びのメディア 公式LINE

痛みの評価はどこを見る?部位と強さの聞き取りと安全に進める看護の流れ

疼痛 アセスメント 看護で迷いやすい観察ポイントを、実施前・実施中・実施後に分けて整理します。鎮痛遅れや急変見落としを防ぎながら、患者さんに安心してもらう声かけと記録のコツまでまとめました。

【看護国試 頻出ポイント】を公式LINEで無料配布中

公式LINEに友だち追加すると、記事のテーマに合わせたお役立ち資料を受け取れます。

LINE友だち追加で受け取る

病室に入ると、患者さんが眉間にしわを寄せて体を動かさない。バイタルサインは大きく崩れていないけれど、「さっきから痛い」と小さく言う。こういう場面で新人看護師が迷いやすいのは、NRSの数字を聞くことではなく、その痛みをどこまで危険なサインとして扱うかです。

痛みは、体温や血圧のように機械だけで測れるものではありません。本人の訴えを中心に、部位、強さ、性質、経過、生活への影響、表情や動きの変化を合わせて見ます。日本看護協会の看護業務基準が重視する安全な看護実践の観点からも、痛みを「我慢できるかどうか」だけで扱わず、患者さんの尊厳と急変予防の両方から評価することが大切です。

この記事では、疼痛アセスメントで最初に聞くこと、急いで報告したい痛み、鎮痛後の再評価、記録と申し送りを、病棟で使える形に絞って整理します。痛みの評価は、優しい声かけだけでも、数字の記録だけでも足りません。痛みの訴えを軽く扱わず、必要なときに止まり、医師や先輩へつなげるところまでが看護です!

😣 疼痛 アセスメント 看護で最初に見ることは?

疼痛アセスメントで最初に見るのは、「痛みの強さ」だけではありません。まず、急に出た痛みか、いつもの痛みが悪化したのか、危険な症状を伴っていないかを確認します。そのうえで、NRSなどのスケールを使って強さをそろえ、経過を比較できる形にします。

痛みは本人の訴えを起点にする

痛みは主観的な体験です。同じ処置や同じ病名でも、感じ方は患者さんによって違います。「この疾患ならこの程度の痛みのはず」と決めつけると、鎮痛遅れや急変見落としにつながります。

看護師が最初に置きたい軸は、「痛いと言っているなら、まず痛みとして受け止める」ことです。そのうえで、訴えと観察所見が一致しているか、前回と比べて変化があるか、今すぐ報告が必要な痛みかを見ます。

特に高齢者、認知症、せん妄、失語、強い不安がある患者さんでは、痛みを言葉にできないことがあります。表情、うなり声、体を守る動き、触れたときの拒否、食事量や睡眠の変化も痛みの手がかりです。言葉だけでなく、いつもとの違いを拾いましょう!

まず危険な痛みを分ける

詳しい聞き取りに入る前に、危険な痛みをざっくり分けます。突然の強い胸痛、呼吸苦を伴う痛み、冷汗や顔面蒼白を伴う痛み、意識の変化を伴う痛み、麻痺やろれつの回りにくさを伴う頭痛、急な激しい腹痛、術後や処置後に急に悪化する痛みは、施設基準に沿って速やかに報告します。

ここで大事なのは、痛みの原因を新人看護師が診断しようとしないことです。看護師は、患者さんに起きている変化を整理して、必要な人へ早くつなぐ役割を持ちます。強い症状、継続する不調、判断に迷う痛みがある場合は、様子見で抱え込まず医師や先輩へ報告してください。

数字は比較のために使う

NRSは、多くの現場で使われる痛みの強さの聞き方です。一般に「0を痛みなし、10を想像できる最も強い痛み」として聞きますが、説明の仕方や記録欄は施設によって異なります。自分の病棟の手順に合わせて使いましょう。

NRSの数字は便利ですが、数字だけで重症度を決めるものではありません。NRS 7でも慢性的な痛みで本人が会話できている場合と、NRS 4でも急な胸痛や冷汗を伴う場合では、報告の緊急度が変わります。数字は「前回と比べる」「鎮痛薬の効果を見る」「申し送りで共有する」ための共通言語として使うと安全です!

🧭 部位と強さはどう聞く?

痛みの聞き取りは、長い問診にする必要はありません。患者さんが苦痛を感じている場面では、短く、順番を決めて、答えやすい言葉で確認します。迷ったら「どこが、いつから、どんなふうに、どのくらい、何をすると変わるか」を軸にすると崩れにくいです。

部位は指さしで確認する

「お腹が痛い」と言われても、みぞおち、右下腹部、背中に抜ける痛み、創部の痛みでは意味が変わります。患者さんが可能なら、痛い場所を指で示してもらいます。範囲が広いのか、一点なのか、左右差があるのか、深いところの痛みなのかも見ます。

部位を聞くときは、看護師の言葉で先に誘導しすぎないようにします。「創のところですよね」と決めるのではなく、「一番痛いところを教えてください」と聞く方が、患者さんの感覚に近づけます。あとから医師へ報告するときも、「右下腹部」「創部周囲」「背部へ広がる」など、位置が具体的だと伝わりやすくなります。

性質は患者さんの言葉を残す

痛みの性質は、「ズキズキ」「刺すような」「締めつけられる」「焼けるような」「重い」「しびれるような」など、患者さんの言葉で表現されます。医学的にきれいな言葉へ置き換えるより、本人が言った言葉を残す方が、後で比較しやすいことがあります。

ただし、言葉だけではなく表情と動きも見ます。動くと増えるのか、深呼吸で増えるのか、触れると強いのか、安静でも続くのか。ここがわかると、体位調整、処置の中止、報告の緊急度を考えやすくなります。

生活への影響まで聞く

痛みの評価では、NRSの数字だけでなく「何ができなくなっているか」を聞きます。眠れない、深呼吸できない、咳ができない、歩けない、食べられない、リハビリに参加できない。こうした影響は、看護計画や鎮痛の評価に直結します。

たとえば術後の患者さんが、痛みで深呼吸や離床を避けている場合、数字だけ見るよりも生活上の困りごとを見た方が支援につながります。「痛みが3点まで下がった」だけでなく、「深呼吸ができた」「トイレまで歩けた」のように機能の回復も確認しましょう!

聞く項目具体例記録で残したい形
部位右下腹部、創部周囲、背部へ放散患者さんが示した場所を具体的に書く
強さNRS、表情、体動、睡眠への影響前回と比べられる形で書く
性質ズキズキ、締めつけ、しびれできるだけ本人の表現を残す
経過急に出た、昨日から増悪、処置後から開始時刻や悪化したタイミングを添える
増悪・軽減体動、深呼吸、安静、体位、鎮痛薬対応後の変化まで追う

🔎 実施中・鎮痛後は何を観察する?

疼痛アセスメントは、最初に聞いて終わりではありません。体位変換、処置、リハビリ、鎮痛薬投与後など、痛みが変わりやすいタイミングで再評価します。鎮痛遅れを防ぐには、「痛いと言われたら聞く」だけでなく「痛みが変わる場面を先に見に行く」意識が必要です。

処置中は反応を見ながら止まる

ガーゼ交換、移乗、清拭、体位変換、ドレーン周囲の確認などでは、手元に集中しすぎると患者さんの反応を見落とします。表情がこわばる、息を止める、ベッド柵を強く握る、返事が短くなる、急に黙る。こうした反応は、痛みが強くなっているサインかもしれません。

声かけは長くなくて大丈夫です。「今の痛みは増えていますか」「少し止めますね」「息苦しさはありませんか」と短く確認します。患者さんが痛みを訴えたときにすぐ止まれる姿勢を見せるだけで、安心感はかなり変わります!

鎮痛薬後は効果と副作用を一緒に見る

鎮痛薬を使った後は、痛みが下がったかだけでなく、眠気、呼吸状態、悪心、ふらつき、血圧低下、発疹などの変化も見ます。特にオピオイドなど眠気や呼吸状態に注意が必要な薬剤では、施設の手順、医師の指示、添付文書に沿った観察が必要です。

薬剤の効果判定の時刻は、薬の種類、投与経路、患者さんの状態、施設基準によって異なります。ここでは一律の分数を断定せず、自分の施設の手順に従うのが安全です。記録には、投与前後の痛み、患者さんの反応、眠気や呼吸の変化、次に見る時刻を残します。

痛みが残るときは原因探しを急がず整理する

鎮痛後も痛みが残ると、「薬が効いていない」とだけ考えがちです。でも、体位、創部の圧迫、尿閉、便秘、チューブの牽引、不安、環境音、睡眠不足など、痛みを強める要因はいくつもあります。新人看護師がすべてを判断する必要はありませんが、観察した事実を整理して報告することはできます。

「NRS 8から6に低下したが、体動時は創部痛が強く深呼吸を避けている」「安静時も右下腹部痛が持続し、冷汗あり」のように、数字と行動、随伴症状をセットにすると判断につながります。痛みが強い、急に悪化する、継続してつらそう、判断に迷う場合は、医師へ報告し追加指示を確認しましょう!

【看護国試 頻出ポイント】を公式LINEで無料配布中

痛みの評価の観察ポイントを、国試と現場の両方で使える形で復習できます!

LINEで頻出ポイントを受け取る

📝 記録と申し送りは何を書く?

痛みの記録は、きれいな文章を書くことより、次の看護師が同じ目線で比較できることが大切です。「疼痛あり」「様子観察」だけでは、何が起きて、どう対応し、次に何を見るのかが伝わりません。記録は、観察した事実、行った対応、再評価、報告を分けて残します。

「痛い」だけで終わらせない

記録では、部位、強さ、性質、開始時期、増悪・軽減因子、随伴症状を短く入れます。全部を長文で書く必要はありませんが、後で比較できる要素は残します。

たとえば「創部痛あり」だけでは不十分です。「創部周囲、体動時NRS 7、安静時NRS 3、深呼吸で増強、冷汗なし、創部出血なし」のように書くと、次の勤務者が変化を追えます。患者さんの言葉をそのまま残す場合は、必要な範囲で簡潔に書きましょう。

報告した事実を残す

医師や先輩へ報告した場合は、報告先、報告時刻、伝えた内容、受けた指示、実施した対応を残します。これは自分を守るためだけではなく、チームで同じ情報を見られるようにするためです。

PMDAの医療安全情報のような公的な注意喚起でも、医薬品や医療機器に関わる確認、共有、手順遵守の重要性は繰り返し扱われています。痛みの評価でも同じで、「誰かが知っているはず」にせず、報告と記録で情報をつなぐことが安全につながります。

申し送りは再評価の予定で締める

申し送りでは、「痛みがありました」だけでなく、「次にいつ、何を見るか」で締めます。たとえば「鎮痛薬後、安静時NRS 3まで低下。眠気軽度、呼吸苦なし。次は体動時痛とふらつきを確認してください」のように、次の観察が見える言い方にします。

痛みは時間で変化します。術後、処置後、リハビリ後、夜間、排泄前後など、患者さんごとに痛みが強くなるタイミングも違います。申し送りでそこまで渡せると、次の勤務者が先回りして関われます!

✅ 新人看護師が迷いやすい場面

痛みの評価で迷うのは、知識不足だけが原因ではありません。患者さんの訴え、バイタルサイン、医師の指示、病棟の忙しさが重なり、「今すぐ報告するほどなのか」と判断しづらくなるからです。ここでは、現場で迷いやすい場面を安全側に整理します。

バイタルサインが安定していても痛みを軽く見ない

痛みが強くても、血圧や脈拍が大きく変わらないことはあります。逆に、不安や発熱、脱水など別の要因でバイタルサインが変わることもあります。だからこそ、バイタルサインが安定しているから痛みも軽い、と決めないことが大切です。

「本人はNRS 8と訴えているが、バイタルサインは大きく変化なし。表情苦悶あり。安静でも持続」のように、訴えと客観所見を並べて報告します。判断する人が判断しやすい材料をそろえるのが、看護師の大事な役割です。

我慢強い患者さんほど先に聞く

「迷惑をかけたくない」「このくらい我慢しないと」と考えて、痛みを強く言わない患者さんもいます。特に術後や処置後は、痛みを我慢すると深呼吸、咳嗽、離床、睡眠、食事に影響することがあります。

痛みを聞くことは、患者さんを甘やかすことではありません。安全に動けるようにするための評価です。「痛みが強いと動きにくくなるので、我慢せず教えてください」と伝えると、患者さんも言いやすくなります!

迷ったら患者さんのそばで確認する

新人のうちは、ナースステーションで悩み続けてしまうことがあります。でも、痛みの評価で迷うときほど、まず患者さんのところで状態を見直します。表情、姿勢、呼吸、皮膚色、発汗、話し方、痛む部位、チューブや固定の状態を再確認します。

そのうえで、報告は簡潔にします。「右下腹部痛が30分前から増強、NRS 8、冷汗あり、血圧は前回と同程度、体動で増悪、安静でも持続しています」のように、事実を並べると伝わります。うまく言おうとしすぎなくて大丈夫です。危ないかもしれないと思った時点で、早めに共有しましょう!

❓ よくある質問

Q. NRSで「7」と言われたら、すぐ医師へ報告すべきですか?
数字だけで一律に判断せず、部位、性質、急な悪化、呼吸苦、意識変化、冷汗などを合わせて見ます。強い痛み、急な痛み、判断に迷う痛みは施設基準に沿って速やかに報告します。

Q. 認知症や失語で痛みを言葉にできない患者さんはどう評価しますか?
表情、うなり声、防御する動き、体位、食事や睡眠の変化、処置時の反応などを見ます。本人の訴えが取れないほど、普段を知る家族やスタッフからの情報も大切です。

Q. 鎮痛薬を使った後の再評価では何を見ますか?
痛みの強さだけでなく、眠気、呼吸状態、悪心、ふらつき、血圧低下などの変化と、動ける・眠れる・深呼吸できるなど生活への効果を見ます。再評価の時刻は施設手順に従います。

Q. 痛みが強いのにバイタルサインが安定しているときの記録はどうしますか?
バイタルサインが安定していても、本人の痛みの訴えは軽く扱いません。部位、強さ、性質、増悪・軽減因子、行った対応、報告先、再評価予定を残します。

あなたの次の一歩に

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療・看護判断に代わるものではありません。実施手順や適応は、所属施設の手順書、医師の指示、最新の添付文書や公的情報を確認してください。

参考情報源

  1. 看護業務基準(2021年改訂版) (日本看護協会) アクセス日: Sat May 30 2026 02:00:00 GMT+0200 (Central European Summer Time) https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/gyomu/kijyun.pdf
  2. PMDA 医療安全情報 (独立行政法人 医薬品医療機器総合機構) アクセス日: Sat May 30 2026 02:00:00 GMT+0200 (Central European Summer Time) https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/medical-safety-info/0009.html

【看護国試 頻出ポイント】を公式LINEで無料配布中

続きや最新情報も公式LINEで!友だち追加で資料が届きます。

LINE友だち追加で受け取る